もう10年以上も前になってしまうけれど、鹿児島に仕事に出かけていた頃、夜な夜な宴会していたんだけれど、西鹿児島駅近くに「万十屋」なるもつ鍋屋を発見、鹿児島では必ずでかける場所になってしまった。店の主人によれば、「万十屋」は福岡にあり、ここ鹿児島のお店は「のれん分け」ということであった。
その後、一時のもつ鍋ブームがあり、もつ鍋「万十屋」は東京は六本木(と思う)に出店してきて、一度でかけた記憶がある。鹿児島の店の石鍋とは違った真鍮製みたいな変な鍋というかお盆みたいな容器でのもつ鍋であった。それもいつのまにかどうなったのか聞かなくなってしまった。
最近の福岡行きでの「博多うどん」研究も飽き、「もつ鍋」研究に移行、何軒かの「もつ鍋」を試したが、あの「万十屋」のもつ鍋とはちょいと違っていたのだ。こうなると、どうしても「万十屋」に出かけてみなくてはということになったのだ。
6月20日、真夏を思わせる福岡であった。その夕方「万十屋」に出撃した。
同行者は4人、安成工務店の佐々木氏、渡邊氏、福岡の建築家・網田氏、その日いらしたアイランドプロファイルの中島氏の5人、勇躍、福岡市郊外の早良区田村の「万十屋」に向かっていったのであった。
夕暮れで周辺をじっくり観察する暇はなかったが、川っぷち、田んぼの中の円弧を描く屋根、建築家・隈研吾設計の予想とずいぶん違った大きな建物であった。
細い斜路を上がった店の入口は、風呂屋の入口という印象、下足箱に靴を収め、低いけれど番台風のカウンターで案内を頼む。案内されたのはだだっ広い座敷、おりからの日曜日、座敷いっぱいの家族連れやらご近所風の客が群れあってもつ鍋に集中しているのであった。
サイドメニューもいろいろであるが、メインはもつ鍋,一人前900-円である。まずは五人前、甕に入ったタレにつけ込んだモツがくる。石鍋にモツをいれ、その上にタマネギ、キャベツ、エノキ、ニラの順でこんもりとした状態で強火、生ビールを飲みながら待つのだ。うーむ。
この辺り、たくさんいるおばちゃんが全て面倒みてくれるのだ。
万十屋のもつ鍋の最大の特長は、すき焼きと同じく卵をといた小鉢で食するのだ。うまい。うまいのだ。
もつのお替わり、生ビール、生ビールと、最後はちゃんぽん麺を入れてというはずだったが売切れ、うどんで仕上げだ。
福岡の田舎の夜は更けていくのだ。
●万十屋のホームページ
嵐山光三郎も大推奨している。通販で購入できるのだ。
●嵐山光三郎のこれがうまい
浜松(静岡県の)の駅近くを車で通りかかった時、ビルの看板にちょっとびっくりした。
「村上臓器」というのだ。ふむ、臓器移植用の肝臓とか心臓を扱っているのだろうかと一瞬思ったが、ただのモツ、ホルモンとかをあつかう肉屋とのことであった。
毎日のように写真を見ては食欲をそそられています。
壇太郎がこの店のことを書いていた数年前のdanchuも引っ張り出しました。もつ鍋に使うのは胃なのでしょうか、腸なのでしょうか。いずれにしろ、ショウカキ系ですね。ホルモンの語源は「放るもん」とか「掘るもん」だとか読んだことがありますが、哺乳類でも魚でも、内蔵や縁や皮は肉よりもかならず旨いのはなぜなのでしょうか。しかもそれの方が安いというのは、流通のシステムにも福祉的要素が織り込まれているわけで、こういうことを実感したときには、自然にできた生産と消費のシステムも捨てたものではないと思います。