December 19, 2003

共用器/銘銘器/属人器

僕の高校卒業同期のメーリングリストがある。

同期生は400人(男300人女100人)で、メーリングリスト参加者は40人だから、10%が参加していることになる。話題は多岐にわたり、その話題のレベルの高さはなかなかなのだ。そろそろ悠々自適なんていう輩もでてきているから、発言数も多いのだ。

先日、S女史からこんなアンケートが出された。
「つまらないことがふと気になって。アンケート」という題で、日常の家庭の食事、その食器は個人専用なのか、共用の物なのか、それを皆に聞いてみようということなのだ。お箸から飯椀、汁椀、湯飲み、それらは皆さんのお家ではどうなっているの、というわけだ。

お箸 個人 共通
飯碗 個人 共通
汁椀 個人 共通
湯呑み 個人 共通

僕の答えは下記の通りだ。
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もう締切りかと思いますが、お答えします。
お箸  個人
飯椀  個人
汁椀  共通
湯呑み 共通(食後にお茶を、という習慣がなく、Tea という感じです)

13人の回答があり大部分は個人、共通化しているのは少数というような結論がでた。

S女史は語る「うちの場合、文化とか潔癖とかの問題ではなく、単に経済の問題だったかしらと思いましたが、スタートに夫婦茶碗と夫婦箸を買ってしまうところはやはり文化の問題でしょうか。でも共通にしてみてすごく楽になったと感じています。どうしてこんなことに気づかなかったのかという感じです。座る席は決まっていますから、器が同じでもその人のための食事ということに違いはありません。」

すばらしい、ちゃんと結論が示唆されている。

その後ほどなく、T氏からの発言がある。
「ご無沙汰しております、Tです。アンケートにお答えいたします。我が家では、ご飯茶碗、湯飲み茶碗、お椀、お箸、入れ歯は個人別です。
なお、本件に関して面白い本がありましたので、参考までに抜書きいたしました。」

・器は共用器、銘銘器、属人器(銘銘器のうち、特定個人に決まった器)に分類される
・本格的な属人器は江戸時代に銘銘が箱膳を持ち合わせてから(箱膳から卓袱台へ)
・鉢や高杯を使って、銘銘が食物を取り分けて食事をする(共食)ようになったのは西日本で2,3世紀、東日本では4,5世紀ごろから(「魏志倭人伝」には、日本は、高杯を使って食べ、箸を使わず手づかみで食べていた、とある)
・属人器をもつのは日本と朝鮮半島で、中国や欧米にはない。したがって、中国の影響が強かった沖縄では属人器は一般的ではなかった
・西日本ではお嫁入りの日、門口で自分のご飯茶碗を割る風習があった、また、棺が出るとき、故人のご飯茶碗を割る風習があった。」
(佐原真著「考古学つれづれ」p.82−84:書店にて立ち読み可)

というわけで、大変なレベルなのである。、お分かりいただけるかと思う。

これでお終いかと思ったら、K氏が補足する。

「属人器なんて言葉を教えてもらったものだからちょっと検索してみたらありましたね。どうも家族制度とは関係なく、膳の名残というのが有力らしい。」
http://krd.roshy.human.nagoya-u.ac.jp/report/nishimura.htm
http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/browse.cgi?code=85_174

投稿者 AKi : December 19, 2003 09:09 PM
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