October 16, 2003

Bigoli alla Ragu

Bigoli alla Ragu(ビゴーリ アッル ラグー)
1989年8月29日、北イタリア、ヴィチェンツァの郊外・ヴィッラ・ゴーディ(ヴィスコンティの映画:夏の嵐の舞台になっている。残念ながら行ってない。)に行く街道の途中に位置する村にあるリストランテ・ロヴィーゼにてこの地方独特のパスタである「ビゴーリ アッル ラグー」を食べた。ビゴーリはスパゲッティよりもやや太めで色は黒ずんで、歯ごたえが充分にあり素朴な味わいがある。ラグーはミートソースのことだが、日本で食すミートソースよりも汁気が少なく、どちらかと云えば「そぼろ」に近い。我々を案内したのはバスのドライバーのマウリッツォ、彼の好物がこのビゴーリなのだ。自分が食べたいから連れてきた訳である。

因にこの日の夕食は他に「ミルクのリゾット」「ほうれん草のラビオリ」「ビーフステーキ、ローストビーフ、生ハム、鳩のロースト盛合せ」だった。
1300のレシピが載る「新パスタ法典」(ヴェチェンツォ・ブオナッシー著、西村暢夫・他訳、読売新聞社)によればビゴーリは「基本的に蕎麦粉を用いるが、小麦の全粒粉も使われる。それに全卵、塩、ぬるま湯または牛乳を混ぜ合わせ練り粉にし、トルキオと呼ばれる手動の圧搾プレスにかけ押し出す。スパゲッティの形に似ている黒ずんだ色のイタリア東北部ヴェネト地方のパスタ。」とある。またイタリア料理用語辞典(町田亘・吉田政国編 白水社)によれば「ヴェネト地方やロンバルディア地方で作られる生スパゲティ、ふすま入りセモリナ粉、卵が主材料」とある。ヴェネチアの本屋で買ってきた英語版のレシピ集「The Taste of Pasta」にイラスト付きでビゴーリの作り方が出ていた。

圧搾プレスを使う製麺法は韓国・北朝鮮の冷麺にも似ている。まだあるかどうか知ないが新宿歌舞伎町の区役所通りからコマ劇場の裏通りを左に折れた辺りに冷麺の専門店があり、そこは客の注文を受けてから、鍋の上にある圧搾プレスから麺を直接落として入れていた。
蕎麦粉と圧搾プレスを使う製麺法が中国の西の外れ新彊 ウィグル 自治区にもあるのをNHKのドキュメンタリー番組で見たことがある。それは梃子の原理を応用したものだが、麺をプレスして押し出すことは共通である。
パスタ法典 全メニュー目録

投稿者 iGa : October 16, 2003 04:11 PM
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