October 10, 2003

おあげと水菜のたいたん

京では油揚げのことを「おあげ」という。これに京名物の水菜(みずな)を薄味の出汁としょうゆで軽く煮るだけの料理。煮ることを炊くというのもちょっと違う。「たいたん」というのは「たいたもの」という意味。
これが実にシンプルで食べ飽きない。ごはんとこれがあればほかのおかずはなしでもいい。
京のおばんさい、などということばはもともとなかった。ふつうの人が家で食べていた質素な料理がそんな名前をつけられて、とまどっている。
おあげは高級なものを使えば一段と豪華になる。関東のスーパーマーケットではよく、紙のようにパサパサで半透明なおあげを売っている。お金がないときはこんなものでもなんとかなる。水菜は手に入りにくいので、アクがすくない菜っ葉だったら代用が効く。ほうれんそうはダメ。小松菜を入れると全く違う味になるが、濃厚になってとてもいける。
出汁も普通はだしじゃこを使うが、こぶやカツオブシを使えば品が良くなる。しょうゆも濃い口でも薄口でもまた風味がちがうがいずれも使える。不思議なことに同じように見えるし同じ名前の料理なんだが、その一定の範囲内でいろんなバリエーションが楽しめる。分量なんか試行錯誤しておいしいあたりで決めればそれで十分。できたてもうまいし、一晩二晩おいてもますますうまくなる。ごはんを呼ぶ事間違いない。ぜひおためしあれ。

投稿者 yas : October 10, 2003 12:26 AM
コメント

今晩、たまたまチンゲンサイと、魚のすり身に豆腐をまぜて厚揚げ風の練り物にしたもの、を同じ作り方でたいたん、を食べた。
チンゲン菜は今3束で¥100くらいらしい。ちょっとみりんをきかせた味で、チンゲンサイのあっさり味とすり身の厚揚げ風の濃厚さがマッチして、またまたぐいぐい食してしまった。こういう組み合わせの変化も楽しめる。実に奥が深い。

Posted by: yas : October 11, 2003 11:45 PM

神泉苑が正しい呼び方でした。場所はこのあたりです。

たべものに「お」をつけるのはていねいでいいですね。京でもおしょうゆ、おうどん、おそば、おいも、おまめ、おだいこん、おなす、おとふ、おみそ、などと普通に言います。「さん」をつけることもあります。おあげさん、おいもさん、など。たべものをだいじにありがたくいただくという気持ちがこもっています。
お米のひとつぶも作るのに1年かかる。だから残してはいけません。といわれた。

Posted by: yas : October 10, 2003 05:08 PM

昔は「おみおつけ」(お味噌汁のこと東京ではこう言う)によく煮干し(ダシジャコ)が入ったままでしたね。

Posted by: iGa : October 10, 2003 09:50 AM

水菜を売ってる。便利になりましたね。昔は山陰線の二条駅の裏あたりの野菜畑でとれるのが神仙苑の湧き水を含んで名物でした、それも季節物だからすぐなくなります。
みりんを少量入れるとすこしコクが出ます。お好みですので入れないのがもっとも原型と思います。
煮干し=ダシジャコを出汁にしてたと子供の頃の記憶があるのですが、母から伝わった江戸生まれの家人に言わせると、煮物に煮干しは使わないんだそうです。カツオかコンブ(and/or)の分量によって味が変わる。これもお好みで。
京都の母も祖母もけっこういい加減な料理をしてました。よくこれにダシジャコが何匹も残ったままだった。ときおり頭まで残っていた。それを指摘すると、「カルシウムがあって骨になるからから食べなさい」などとのたまわってました。

Posted by: yas : October 10, 2003 08:27 AM

水菜はこの一年位前から、近県物が近くのスーパーでも置かれるようになりましたね。
大村しげの随筆にもそんなのがあったような、こんど試してみます。

Posted by: iGa : October 10, 2003 02:17 AM